青森地方裁判所 昭和26年(行モ)11号 決定
被申立人が申立人の内潟村農業委員会書記の職を解く旨の昭和二六年一一月一四日附処分の効力の発生、その後の手続の進行及び執行を本案判決が確定するまで停止する。
二、理 由
申立代理人は主文同旨の決定を求める旨申立て、その理由として申立人は青森県北津軽郡内潟村農地委員会が発足した昭和二一年一一月一日当時から同委員会(同農地委員会が農業委員会に改組された後は農業委員会)主任書記として勤務して来たところ、被申立人は昭和二六年一一月一四日突如申立人を「勤務の実績が悪く事務が進捗しない。」「上司の命に従わず、書記としての適格性を欠いている」との理由で解職処分に付した。併し該処分に次のような違法がある。
(イ) 申立人は就職以来全体の奉仕者として、公共の利益のため全力を挙げて職務の遂行に当つていたから右解職処分は地方公務員法第二七条第二八条に牴触する。
(ロ) 右処分は農業委員会法第三十七条第一項、内潟村農業委員会議事規則第六条に違背し同農業委員会の適式な議決を経ないで為されたものである。
よつて申立人は今度被申立人を相手取り青森地方裁判所に右解職処分取消の訴を提起したが何等見るべき財産がなく目下多数の家族を擁し、路頭に迷いつつあり従つて今判決の確定を俟つにおいては全家族は到底餓死を免れないこと極めて明瞭であるからここに行政事件訴訟特例法第一〇条に則り右処分の(1)効力の発生及び(2)執行の停止を求めるため本申立に及ぶと陳述した。
よつて当裁判所は一件記録を精査し、諸般の事情に稽え申立人の申立理由を一応正当と推測し主文のように決定する。
(裁判官 中川毅 小友末知 野原文吉)